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参考症例集・M字部中心の生え際修正『生え際に植毛術を行った症例の解説』

Lesson 2. 左右差のある生え際への植毛術の例

30歳代、男性。生来より左右差のある生え際への移植。
FUE、800グラフト。

術前術後写真

【術前】
HN分類(➡ 男性のAGAのHN分類表をご参考ください。):3型。額は広く、生え際の高さに左右差を認めます。写真のように、左側の生え際ラインは右側より極端に高くなっています。”前頭部が薄くなり始めた”という主訴でご来院されました。
薬剤の使用:海外医薬品(フィナステリド、ミノキシジル等含有)を個人使用。特に生え際で太い毛髪がうぶ毛まで退化してしまうと薬物治療の効果を期待すべきではありません(➡ Step2『自毛植毛術』 Lesson1をご参考ください。)。
遺伝的素因と年齢:わかる範囲では重度AGAの血縁者はおらず、診察の結果、将来的に急速に重度に脱毛が進行するリスクは低い症例と考えられた。
ドナーの状態:毛穴密度は平均60/㎠程度ととても低い症例でした。ただし、毛髪の太さは年相応で太く、細毛が少ないのは良い条件でした。
術式の選択:HN分類で軽度AGAであり、将来のAGA脱毛の進行リスクが低い(特に薬剤治療を継続する場合)ため、FUEを選択された。

【手術評価】
移植部の面積は、20 ㎠強であり、平均移植密度は40グラフト/㎠で移植するとすると、800グラフトの植毛術という見積もりになります。
(「移植グラフト数の見積り」について➡ 男性のAGAのHN分類表をご参考ください。)
生え際は左側が高く、左右差があります。この左右差は左右対称になるようにデザインします。
グラフトを採取するドナー部は、標準的なFUEでは毛髪を剃毛する必要があります。通常は後頭部を中心に剃毛します。この例のように800グラフトの場合、術後に剃毛部を隠すために、剃毛上方の頭髪を6~7 cmくらい伸ばしておく必要があります。グラフト数は『参考症例集』M字部の1と同じですので参考にしてください。
FUEの評価:FUEで最も評価すべき検査は毛包切断率です。この例では、毛包切断率(➡ Step3『Proの植毛術』をご参考ください。)は5%でした。また、グラフト損失率は7%であり許容範囲内でした。次回、植毛術を検討する場合でもこれらの数値を考慮に入れてFUEを選択しても問題はありません。

【手術結果 - 術後1年目】
術後評価は術後1年目で判断します。想定通りの結果となっています。生え際の左右差もなくなりました。また、生え際ラインも自然さを保っています。
この例の場合、ご年齢や遺伝歴からAGAによる脱毛進行によって重度AGAになったり、急速に進行したりする怖れは少ないと考えられます。ただし、ドナーの密度は非常に少ない症例ですので、FUEでは通常のドナー密度の方よりも将来採取できるグラフト数は極端に少なくなってしまいます。よって、ある程度のご年齢までフィナステリドを服用して脱毛進行を予防し、長期使用で脱毛進行の兆候を認めない場合は薬剤中止をトライしてもよいでしょう。

(2022年4月 K. Yamamoto記)

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