今回から男性のAGAに対すて植毛術を行うタイミングについて解説していきます。
まず基本的な事として、一時的な病気でうぶ毛になってしまった場所以外、例えば、生まれた時からうぶ毛のままである場所とか、AGAや老化によってすでに完全に退化してしまって最終的にうぶ毛になってしまった場所では、お薬を使っても太い毛髪にはもう二度と戻ることはないのです。これは、人間のすべての臓器に当てはまる既成事実です。
また、カウンセリングでよく質問されるのは、「ハゲが進行してしまって毛が生えていない」と言われることです。しかし、このような場所でも、しっかりとうぶ毛が生えているのです。これは肉眼でうぶ毛を見る事ができないだけなのです。
例えば、頭髪のしっかりと太い毛髪だけが密集している部分では、すべての毛穴には１つ以上の太い毛髪が生えています。生え際の境界部を見てみると、毛穴は太い毛髪を含む部分とうぶ毛だけの部分が見られます。額の部分を見ると、肉眼ではよく見えませんが、毛穴の部分からはすべてうぶ毛が生えています。決して毛がないわけではなく、毛穴の数もほぼ同じだけあるのです。
図は、6型の重度AGAに対して植毛術を行い、その後、お薬を併用している患者さんの頭頂部の部分を拡大しています。赤印は移植毛が発毛している毛穴であり、青印は元々あった毛穴を示しています。これを見てもわかるように青印の毛はお薬を使用しているにもかかわらず、うぶ毛のままであることがわかります。しかし、薬剤効果によってこのような小さいうぶ毛でも本来より若干太くなっているので、全くお薬の効果がないということではありません。
したがって、元々からうぶ毛の部分やAGAや老化によって完全にうぶ毛まで退化してしまった頭髪に対しては、お薬が全く効かないということではありませんが、退化しきったうぶ毛に対するお薬の効果は非常に微弱であり、大きな期待による過剰治療はむしろ副作用を増やすだけで有害となります。