移植毛の損失がない確実な【 自毛植毛 】法
FUTの要点
1.グラフトの大きさを自由にセッティングし、それに対応できる高度な技術の必要性。
2.グラフトの損失や損傷を限りなくゼロにする技術の必要性。
3.ドナー部(後頭部)の線状のキズを目立たないキズに縫合する技術の必要性。
4.Combo植毛術(FUE+FUT/FUSS)への応用とその必要性。
1.FUTの概略
植毛技術は「自然な仕上がり」を追求することで進化してきましたが、この自然な仕上がりを追求した自毛植毛が毛包単位植毛、FUT(Follicular Unit Transplantation)です。現在では移植グラフトを後頭部からStrip(ストリップ)で採取するため、FUSS(Follicular Unit Strip Surgery)と呼ばれることが多くなっています。
当院独自の方法により、FUTでは100%に近い高い生着率も可能となります。また、私の開発した縫合技術(➡ 参考学術誌)によりドナー採取部のキズも通常は目立ちませんので、安心して選択できる植毛術となりました。
FUTでは、患者様の状態に応じたカスタマイズが自在ですので、種々な状況に対応可能です。
しかし、確実なFUTを行う場合、高度な技術と熟練した医師とスタッフのチームワークが強く要求されます。医師が行う過程以外にスタッフの技術が大変重要になります。したがって、重要な株分け作業(移植グラフトの作成)は、十分に教育を受けた熟練したスタッフにより顕微鏡下で丁寧に株分けされる必要があり、移植作業も丁寧に、かつ、慎重に行われる必要があります。そうすることによって、移植後の生着率を高く維持することが期待できるのです。
メリット
- 独自の縫合法により、線状のキズですが、キズから毛髪が生えるので通常はあまり目立ちません。
- ドナー部の剃毛は必要なく、
術後にドナー部のキズが他人にばれることはありません。 - FUEと比較すると、ダメージのない良質のグラフトが作成されます。
当院の方法では移植毛の損失はほぼ0%であり、高い生存率が期待できます。
デメリット
- 縫合技術により目立たないキズとなりますが、最良の結果となるためにドナーの術後管理が必要です。
- 熟練した医師やスタッフの高い技術と双方の連携が求められるため、確実なFUT植毛術は限られた医療施設でしか実際には行えない。
- 100%の生存率を想定する場合は、大きく作成された移植グラフトを使用する必要が生じ、移植密度を多少下げなければならない。手技的にも高難度になってしまう。
FUT 施術の流れ
- 1.ドナーの採取
- 後頭部や側頭部の毛包を採取(ドナー採取)します。拡大鏡を使用しながら、1つ1つの毛包の間を丁寧にメスを進めて採取します。したがって、毛包のダメージを最小に抑えることができます。後頭部のドナーを採取した部分は、独自の方法で丁寧に縫合されます。縫合後は周囲の頭髪を被せると目立ちません。
- 2.株分け
- 採取したドナーは、顕微鏡下で、毛包単位の小さな”グラフト”に切り分けます。一本一本の毛根の向きが異なるので、毛包を傷めないように手作業で慎重に切り分ける必要があります。
- 3.グラフトの移植
- 毛包のダメージが起こらないように丁寧に移植されます。
2. Combo(コンボ植毛術)
FUEとFUSSの併用・同時植毛術 - “Combo植毛術” -
Combo hair transplant(コンボ植毛術)とは、FUEとFUTを同時に併用する技術のことです。Combined FUE+FUT/FUSS hair transplantと呼称されます。
この方法は、脱毛の治療面積が大きく、一度に3000グラフト程度の大量のグラフトを移植したい場合に用いられる技術です。
大量移植の場合、大量のグラフトを後頭部から採取する必要がありますが、その場合、FUTであまりにも大きなドナー組織を塊で採取(図を参考にしてください)してしまうと、縫合後の線状のキズが開いてしまうリスクがあり、キズが目立ってしまいます。そこで、採取するドナー組織の塊を最小限に制限して、足りないグラフトをFUEで採取するのです。
また、FUEでの良し悪しは1回行ってみないとわからないので、安全なグラフト数だけFUEで採取し、足りないグラフト数はFUT/FUSSで補うことができます。
Combo植毛術のメリット
- 大量移植の場合、安全に大量の移植グラフトを採取できる。
- FUEでグラフト損失が多い場合、FUTに術式変更することによって、グラフトの損失を最小限にとどめることができる。
- 大量移植の場合、安全に大量の移植グラフトを採取できる。
- 将来退化しにくい毛髪を選択して一度に移植することができる。
Combo植毛術のデメリット
- 通常のFUEやFUTの単独治療と比較して、手術時間がかかります。
- FUEのみを希望する方には許容されない。
- 技術的に難易度が高いばかりでなく、多くのスタッフが必要である。
- FUEでグラフト損失が多くなる場合には適応しにくい。