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FUE植毛術を試してみたい『少ないグラフト数の移植でも将来的に有効な部分への移植を行う』

Lesson 13. 広範囲AGA脱毛の場合、本当はFUT(FUSS)を選択した方が良いのですが…

40歳代:頭髪は残存していて薄毛ですが、AGA進行は5型の広範囲脱毛です。
500グラフトだけ移植するとすれば、どこに移植したらよいでしょうか?
FUE:500グラフト(最終グラフト数:532グラフト)。

術前術後写真

【術前】
HN分類(➡ 男性のAGAのHN分類表をご参考ください。):5型。
脱毛予防薬は10年程度使用しており、ご来院時はフィナステリドとミノキシジルを内服していました。これ以上の薬剤効果は期待できないとのことで、植毛術をご検討されたようです。
まず、生え際を見ると、生え際ラインはM字を除いて太い毛髪が残存しているので、薬剤継続により長期間脱毛進行を予防できると推測できます。なお、生え際のラインが残っていることは重要で、顔形が変わらないので、美容上かなり有効なのです。なので、このままフィナステリドを継続することが強く推奨されます。

しかし、生え際を除く後方の脱毛範囲は広く、つむじ部まで広がっています。
したがって、脱毛進行度は5型となり、薬剤効果によって無毛ではなく薄毛の状態を保っているものの、脱毛面積は実際にはかなり大きいのです 。

移植術を行う場合の見積もりでは、4000~5000グラフト程度となってしまいます(➡ AGA進行型による移植グラフト数をご参考ください)。

なお、ご希望では、
「FUTは切るのが怖いので、FUEで手術をしたい。」
「500グラフトずつで移植したい。」
とのことでした。

ただし、ここでは、2つの問題があります。
1つは、AGA脱毛範囲が広いため、すべての脱毛範囲を埋めるのに必要なグラフト数が少なくとも4000~5000グラフトが必要であることです。
もう1つは、FUTと比較してFUEは採取する移植グラフトのダメージが多く、ご年齢的にもFUEを行ってしまうと将来的に利用できる移植グラフトがかなり減ってしまうことが予想できることです。
つまり、本来ならご年齢的にFUEを絶対に行うべきではない症例なのです。

以上の説明を行った上で、FUEを選択されました。

遺伝的素因:父方と母方ともに6~7型です。したがって、AGA脱毛のハイリスク症例であり、早期薬物治療が有効です。
ドナーの状態:頭髪の太さは良いですが、ドナー密度の低い症例です。
術式の選択:ご年齢的に、FUEの適応はありませんが、ご本人のご希望によりFUEを選択しています。

【手術評価】
FUEの評価:FUEでまず重要な検査は、毛包切断率です。この例では、毛包切断率(➡ Step3『Proの植毛術』をご参考ください。)は20%でした。
また、損失されたグラフトを含めた毛包切断率自体が1%と推定されました。
結果的に、ご年齢なりでしたが、現時点での合計移植毛損失率は21%ですので、例えば、現時点でFUEで5000グラフトを採取したとしても、実際には3950グラフトの効果しか得られないと解釈できます。
今後、万が一、植毛術を行う場合、AGA脱毛の進行具合と今回の数値を参考にして次回の術式を選択することになります。

【手術結果 - 術後6か月目と術後1年目】
今回は、500グラフトしか移植しないため、万が一、将来に薬剤を止めたとしても不自然ではなく効果的な場所に移植しておく必要があります。
つまり、脱毛が進行しても不自然に移植毛が残らない場所に移植しておく必要があります。すなわち、Frontal tuftに移植するのが無難なのです(➡ ”重要な移植部位であるFrontal Tuft”をご参考ください。)。
術後結果の分け目を見ると、どこまで移植したのかはっきりわかります。
また、頭頂部からつむじ部は移植していないので、変化はありませんが、赤矢印のように前頭部では毛量がアップしているのがわかります。

術後ドナー部

【ドナーのキズ - 術後1週間と術後1年目】
FUEですので1週間もするとキズはふさがるので、ドナー管理は非常に楽です。
ただし、500グラフトといっても、比較的広い範囲にキズ跡が広がっているので、将来的に5000グラフト程度採取していくための条件は悪くなってしまいます。
したがって、本来であれば、FUTで5000グラフト程度まで採取し、それ以降はドナーの状態を見ながら術式選択などを行うのが良いのです。

(2023年9月 K. Yamamoto記)

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