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Step 3 : Proの植毛術FUEにおける『グラフト損失』とは何か?

Lesson 4. FUEにおける『グラフト損失』の問題: Part I

    【Point!】

  • グラフト損失には、組織損失のある:絶対的毛包損失を伴うグラフト損失と、組織損失のない:相対的毛包損失を伴うグラフト損失の2種類があります※1
  • 絶対的毛包損失を伴うグラフト損失とは、移植するには適さない「移植することがきないグラフト」のこととご理解ください。
    つまり、捨ててしまうか、見失ったグラフトのことです。
  • 相対的毛包損失を伴うグラフト損失とは、代表的な原因の一つが採取された毛包(毛髪の組織)の切断です。つまり、毛包切断です。
  • FUEを行うにあたっては、絶対的毛包損失と相対的毛包損失の両方が少ないのがよいのですが、私は絶対的毛包損失を重要視しています。
  • このレッスンでは、グラフト損失の中で最も重要な絶対的毛包損失を伴うグラフト損失について解説します。
    なぜなら、絶対的毛包損失は毛包の切断と密接に関わっているからです。


※1:絶対的毛包損失や相対的毛包損失という用語は、わかりやすいように私が命名した用語であり、これらの名称は現時点ではありません。

切断毛グラフトであるCompletely transected graftを移植した場合

今回は、グラフト損失の中でも、私が最も重要視している絶対的毛包損失について解説していきます。簡単に説明すると、毛包組織を使用できずに、結果的に捨ててしまうことです。

FUEにおけるグラフト採取中では、以前のレッスンで解説したCompletely transected graft(➡ Proの植毛術・Lesson 2を参考にしてください)、つまり、すべての毛髪組織が切断されているグラフトが大量に採取されてしまう場合があります。
まず最初に、これらのCompletely transected graftのすべてを移植するケースを考えてみましょう。
図1は、2本毛のintact graft(すべての毛髪組織が切断されていないグラフト)を12グラフト、2本毛のCompletely transected graftを12グラフト、合計24グラフトを移植した場合です。
たとえ切断毛の生存率が100%であったとしても、切断毛から発毛した毛髪は大部分がうぶ毛になってしまいます。
患者さんは発毛後の結果を見てどう思うでしょうか?
確かに生えてはいるが薄すぎるのではないか?手術は失敗ではないか?と感じるでしょう。


切断毛グラフトであるCompletely transected graftを捨てた場合

一方、Completely transected graftを使用せずに移植した場合はどうでしょうか?
図2のように、Completely transected graftは使用せずに、2本毛のintact graftを24グラフト移植した場合を見てみましょう。
結果はほぼ想定通りとなるでしょう。この場合は患者さんがそれなりの満足度を得ることは確実です。
しかし、この場合には大きな問題点があります。
使用しなかったグラフトはどこから補うのでしょうか?

答えは簡単です。余分にドナー部(後頭部など)から採取するのです。
これは結果として、以下の大きな2つの問題点が隠れているのです。

  • ドナー部に余分なキズ跡(点状瘢痕)を増やしてしまうことになります。
    グラフト損失がない場合と比べると、一層汚いキズになる、あるいは、グラフトをくり抜く範囲(ドナー面積)が増えるということを意味しています。
  • さらに問題なのは、結果として、将来移植できるかもしれない毛髪を捨てていることになり、ドナー毛が早い段階でなくなってしまうことを意味しています。

以上のことから、私の場合、このような状況に直面してしまった時、最初からFUTを選択して、「大事に株分けしておけば、大事なグラフトを捨てずにすんだのに…」という気持ちになってしまうのです。
なので、FUEを選択した場合であっても、絶対的毛包損失があまりにも多くなる場合は、躊躇なくFUEからFUTへ術式変更することを提案しています。
みなさんも、実際にこのような状況になった場合、「どうしたらよいか?」を、ご自身に当てはめて考えてみてください。
運が良かった、悪かったではすまされないと思いませんか?

(2022年5月 K. Yamamoto記)

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