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Step 3 : Proの植毛術FUEにおける『移植毛の切断率』の本当の意味とは !

Lesson 3. FUEにおける生存率にグラフト生存率を採用した場合の問題点

    【Point!】

  • 今回のレッスンでは、切断率を考慮する上で避けて通れない、「生存率」が「グラフト生存率」を示している場合について理解しましょう。
  • FUEで「生存率」と言う場合、本当は、グラフト生存率ではなく、毛包生存率を採用すべきです。
  • グラフト生存率を採用すると、移植毛の切断率が多くても、「生存率が高い」と言うことが可能となります。
  • グラフト生存率が100%であっても、毛包生存率は100%に達しないことが多いことを理解しましょう。
  • 前回のレッスン2でも記述したように、最も信頼できる切断率の評価は、客観的評価(後々に検討できる採取グラフトの写真撮影)による毛包切断率の算出しかありません。

グラフト生存率100%と50%の違い

今回は、「生存率」と言った場合に、その生存率が"毛包生存率"ではなく、”グラフト生存率"であった場合の問題点について解説していきます。

まず、ここで考える必要があるのは、グラフト生存率とはどういうことなのか?です。
図Aのように、4つの2本毛グラフトを移植したとします。発毛後は移植した4ケ所からすべて生えているように見えます。このような状態を、「グラフト生存率100%」と言います。つまり、すべてのグラフトは定着していると判断できます。しかし、移植された毛の数は減っています。
また、図Bでは、発毛後2ケ所から生えているようです。このような状態は、グラフト生存率50%だったと言えるでしょう。この場合は、グラフトの半分は定着しなかったと判断できるでしょう。しかし、図Bの状態では50%どころか62.5%(移植された毛髪の3分の2)の毛髪が失われています。

グラフト生存率100%でも結果は違う

次に、グラフト生存率が100%であっても、全く違った結果になることを理解しましょう。
図Cのケースでは、移植された毛髪がすべて発毛しているので、正真正銘な100%の生存率(毛包生存率100%)です。
一方、図Dでは、すべてのグラフトは定着しているようです(グラフト生存率100%)。しかし、2本毛グラフトを移植したにもかかわらず、すべてのグラフトからは1本しか生えておらず、移植された毛髪は50%しか生存していなかったとみなされます(毛包生存率50%)。また、この場合は、明かに毛量が減った状態であるはずです。しかし、「生存率が100%」と言ってもウソではないでしょう。すべての移植されたグラフトから太い毛髪が1本でも生えているのだから…!


切断毛が移植されても結果的にほとんど生えていないように見える

最後に、切断毛が移植された場合を考えてみましょう。
今回は、すべての毛包(1つの毛の組織単位)がすべて定着しているという条件で考えてみます。
まず、図Eのケースのように、Intact graftを2グラフトとPartially transected graftを2グラフト移植したとしましょう(➡ 前回のProの植毛術・Lesson 2を参考にしてください)
移植したグラフトのうち、手術後1年で、すべてのグラフトは休むことなくすべて発毛し、切断のない完全な毛包は太い毛髪として発毛し、切断された毛包はすべてうぶ毛となったとしましょう。実際には、4つのグラフトから最低1本の太い毛髪が生えていることになるので、4つのグラフトはすべて発毛したことになります。したがって、移植グラフトは4つとも確認できるので、”100%生えましたね”と言うことができます。したがって、グラフト生存率100%(一方、毛包生存率は75%となります)です。
図Fのケースを考えて見ましょう。
Intact graftを1グラフトとPartially transected graftを1グラフト、Completely transected graftを2グラフトを移植したとしましょう。この時もすべての移植毛が休むことなく、発毛したとしましょう。手術1年後に4つのグラフトのうち2つのグラフトからのみ1本以上の太い毛髪が発毛します。”グラフト生存率は50%だった”となるでしょう(一方、毛包生存率は37.5%となります)。Complete transected graftからは2本のうぶ毛が発毛していますが、周囲のもともとあるうぶ毛と区別がつかないので、生えていないように見えます。

最後に、図Gのケースを考えてみましょう。
移植グラフトは4つともすべてIntact graftを用いたとしましょう。ただし、術後1年目に休んでいる毛髪が1つあったとしましょう(通常、頭髪の場合は、10~15%は休止期毛として生えていません)。そして、1年半後にはすべての移植毛が成長期として生え揃った場合です。1年後は見かけ上、毛包生存率は100%に達していませんが、1年半後に休止期毛の発毛を確認することによって、すべての毛髪が生存していたことが確認できたことになります。この場合はグラフト生存率、毛包生存率は共に100%となります。これが本当の完璧な移植術の結果と言えます。

ただし、これでも安心はできません。FUEの場合は、グラフト損失の問題があるからです
今回のレッスンでもわかるように、移植された切断毛は大抵の場合、うぶ毛に退化するか、定着しないため、たとえすべてがうぶ毛として発毛しても患者さんは満足しないでしょう。したがって、当たり前のことですが、切断毛は少ないに越したことがないことが理解できるでしょう。また、生存率という用語についても、用い方によっては誤解を招く可能性があることがご理解いただけたでしょう。

(2022年3月 K. Yamamoto記)

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