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AGA脱毛の進行による”離れ小島”に対する植毛術『同時に他院で行った後頭部の線状のキズを修正』

Lesson 6. 植毛術後の”離れ小島”とは?

40歳代:15年前にM字部中心の生え際の脱毛に対して植毛術を実施したが、AGAに対する予防薬を使用しなかったため、生え際の移植毛を取り残して後方に脱毛が進行してしまった。
このように、AGA脱毛の進行によって既存毛がうぶ毛まで退化して、移植毛だけが島のように取り残されてしまうことを『離れ小島』と呼んでいます。
このような場合、植毛術の追加手術の必要性とAGA薬剤使用継続の必要性を再認識することの2つの事がポイントです。
FUSS(FUT):1312グラフト(脱毛が進行した生え際の後部:857グラフト、つむじ部:455グラフト)。

術前術後写真

【術前】
HN分類(➡ 男性のAGAのHN分類表をご参考ください。):15年程前は2~3型でしたが、4v型まで脱毛が進行してしまいした(写真ではつむじ部を示していないのですが、つむじ部も若干薄毛の状態に脱毛進行しています)。
この症例は、15年程前に他院で1500本程度(推定700~800グラフト)の植毛術をM字部中心の生え際に実施しています。そして、他院での手術の約9ヶ月後に、密度が薄いとの理由で758グラフトの植毛術(密度アップ)を私が行っています。しかし、術後検診は、術後1週間目以降ご来院されませんでしたので、その後の仕上がり(植毛結果だけではなく、ドナーのキズの状態も重要)は不明のままでした。

今回は、(以前とは私の勤務するクリニックが違うのにもかかわらず)わざわざ私を検索してからのご来院でしたので、うれしい限りです。

なお、脱毛予防薬の重要性については、当時にも説明していたはずなのですが、薬の服用が嫌だったようでした。したがって、年々薄毛は進行していったようです。

手術を受ける方の中には、今回のように、術後検診にご来院されない方も比較的多いのですが、本来は移植部位に対する術後結果のみならず、今後の方針やドナーのケア、合併症の早期発見・予防、そして、最終結果の厳密な評価など軽視できないことが実は非常に多いものなのです。

術後検診については、双方にとって負担になること(私達→時間的・人的コストのアップ。患者→結果がうまく行けばわざわざ診てもらう必要はなく、来院することも面倒である)なので、極限まで少なくしたいのですが…。
しかし、私達のクリニックが定めている検診日は、上記に述べた理由で、あくまで最小限の来院日ですので、ご理解いただけると幸いです。

では、術前の状態を見てみましょう。
写真を見てわかるように、生え際の移植部を取り残して、その後ろが薄くなっているのがわかるでしょう。術前の1番右の写真を見ると、M字部はそれなりに密度があるのでクリップで髪の毛を上げると薄毛の部分は誤魔化せるのがわかります。しかし、最も重要な部分である真ん中の部分(➡ 「重要な移植部位であるFrontal Tuft」をご参考ください。)は薄くてどうしようもないくらいに脱毛が進行してしまっています。
ただし、離れ小島といっても、生え際を下げすぎて移植したのでなければ、全く無駄ではないのです。もしなければ、前頭部はスカスカで、顔貌も大きく変わってしまっていたことでしょう。

遺伝的素因:父が4型以外は不明です。
ドナーの状態:前回の植毛術後の検診にはご来院されなかったので、ドナーがどのような状態で治癒したのかは不明でした。幸いなことに、私が行った縫合部は、ほぼわからないキズに治癒していました。
術式の選択:私の縫合法で、わからないドナーの線状キズとなることが確認できたので、今回は他院で行われたドナーのキズ(このキズは決してひどく開いたキズではなく、そんかに悪くはないです。2番目の写真の左を見てください)について、少し私的に気になるので、この機会に修正することを提案しました。
ご年齢的に、FUEは推奨できませんし、他院の初回手術でできたドナー創を修正することからもFUSS(FUT)を選択することがベストの治療と考えたからです。今回の手術で線状のキズがすべてわからないキズになれば、植毛術を行ったことは誰にもわからないでしょう。術式については患者さんも快く了承してくれました。
なお、今回は薄いつむじ部にも移植毛を追加することにしました(今回は、離れ小島の説明なので写真は掲載していません)。

術後ドナー部

【手術結果 - 術後6か月目と術後1年目】
術後結果を見てみましょう。
今回は、術後から薬剤を使用していただけたので、術後6ヶ月の段階でもほぼ結果がでています。
1年目の結果を見ると、緑矢印が示しているように頭部真ん中の毛量がアップして術前と比較してしっかりと盛り上がっていることもよくわかるでしょう。

【ドナーのキズ - 術後1年目】
術後1年目のドナーのキズを見てみましょう。
写真を見てわかるように、はっきりとしていた線状のキズもぼやけてしまって、線状のキズがわからなくなっているのがわかるでしょう。
度々、私が説明しているように、移植部だけではなく、ドナー部を如何にきれいにわかりにくく治すこと、そして、大切なドナーの毛髪を少しでも損失しないように工夫することが重要です。

術後に薬剤を使用しなかったために、移植毛を取り残して脱毛が進行することはしばしば見かけます。しかし、気付いた時からでかまわないので脱毛予防薬を継続使用することが重要です。今回のケースでは、薬剤を使用しない場合、中等度から重度のAGA 5型まで年齢の上昇とともに徐々に進行していくと予想できます。しかし、脱毛予防薬(今回の場合はフィナステリド単剤を服用継続していただけそうです)さえ継続するばAGA脱毛の進行はほぼストップしてしまうので、今回の患者さんの場合は今後植毛術を追加で行わなけばならない可能性は極めて低くなると考えられす。また、ドナーのキズをきれいに治しておくことは重要です。きれいに治しておくことによって、ヘアカット時でさえ、植毛術を行ったことはバレないからです。

たとえ『離れ小島』になったとしても、適切な植毛術とたった1種類の薬剤を継続使用することだけでAGA脱毛を克服できてしまうので、将来を悲観することはないのです。

(2024年3月 K. Yamamoto記)

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