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Step 3 : Proの植毛術FUEにおける『移植毛の切断率』の本当の意味とは !

Lesson 1. FUEにおける『移植毛の切断率』の本当の意味とは ?
切断率が高いと何が悪いのか?

    【Point!】

  • FUEの指標として、『切断率』は最も有効な指標です。ただし、正確に毛包切断率を算出した場合に限ります。
  • FUEは毛穴単位(注:毛穴単位で採取しない場合もある)でグラフトを採取する方法ですが、現状では最新機種を用いても盲目的採取であるため、毛包(表皮の下の毛の組織)が切断されやすい人は、どの方法を用いても相応に悪い結果となってしまう。実際に、このような人にFUEを行ってしまうと、(特にAGA脱毛が進行途上の人にとって)良好な結果とならないのです。
  • 『移植毛の切断率』は、実際にはグラフト切断率毛包生存率がごちゃまぜになって紹介されていると思われる。上記に述べたように、本当は正確な毛包切断率を算出するのが正しい! しかし、特に、切断率が高い人ほど、実践的には正確な毛包切断率を算出することはほぼ不可能であると考えられます。
  • 植毛術においてFUEは手技的に容易であるため、日本国内でもFUT(FUSS)を行わず、FUEしか施術できないクリニック(FUE専門クリニック)が多いのも問題です。したがって、切断率が高かった患者さんに悪い結果を説明していないようで、私はこのような重要な説明を行わないのが根本的な問題であると考えています。そもそも切断率を低く保つことに関しては直視下にグラフトを作成するFUTにFUEは全くかなわないのです。

今回から『Proの植毛術』を始めたいと思います。

まず、最初に自毛植毛術において、近年めざましい発展を遂げているFUE(Follicular Unit Excision:(注)旧名はFollicular Unit Extractionですが、後頭部にキズが残らないという誤った認識をもたらす名称のためExtractionはExcisionに改められています。お間違いのないように!)の問題点から始めたいと思います。

まずはFUEに関連する切断率から始めたいと思います。患者さんから「FUEで、どのくらい生えますか?」と質問されることが多いためです。この質問に関連して、『切断率』は避けて通れないためです。ただし、FUEにおける切断率については非常に奥が深いため、この回だけでは説明しきれない内容になります。故に、何回かに分けて説明していくことになります。
FUEにおける『移植毛の切断率』は、どなたでもわかるように低ければ低いほど良いわけです。だから、FUEを宣伝したいクリニックは切断率が低いことをアピールしたくなるのです。

では、根本的な疑問として、移植毛を切断したら何が悪いのでしょうか?
このことに関して、医師ですら誤った認識の方が多いと思われます。切断毛に関する最も有名な論文があります。1996(1993)年にKoreaのKim医師およびChoi医師が報告した切断毛の高さによる生存率実験です(図)。上部1/3および下部1/3の毛包部分だけの移植であれば生存率は0%、上半分および下半分の毛包部分の移植ではそれぞれ40%と27%の生存率、上部2/3および下部2/3の毛包部分の移植ではそれぞれ83%と65%の生存率であったという内容です。この報告を鵜呑みにしてFUEに当てはめると、1つの毛包が上部1/3で切断された場合、上部1/3は生えないので廃棄するが、ドナーに残った下部2/3は83%の確率で普通に生える(損失は17%)。真ん中で切断された場合は、上部半分だけの毛包を脱毛部に移植して40%が発毛し、ドナーに残った下部がドナー部から27%の確率で発毛する(損失は33%)。下部1/3で切断された場合、上部2/3の毛包を脱毛部に移植して65%が発毛し、ドナーに残った下部1/3からは発毛は見られない(損失は35%)。これらの結果を単純に考慮すれば、「毛包の切断があったとしても損失は20~30%程度ですね!」となってしまいます。極端な場合は、「1つ毛包が真ん中で切断されて、上部半分から毛が生えて、さらに下部半分から毛が生えて2本になりました。1本から2本に増えましたね!」となります。

しかし、切断毛の生存率について、『生存率』自体は正しいことかもしれませんが、私の経験ではこの『生存率(どのくらい生えますか?)』は曲者で、非常に注意しなければならない点があるのです。
私は、この問題に関して、15年前に国際毛髪外科学会(2007年 ISHRS meeting)で報告しているが、切断毛のほとんどは外観上は生えないか、あるいは、うぶ毛に退化してしまうのです。
実際に、切断毛の運命は、図のようになってしまうのです。
したがって、切断毛はできるだけ作るべきではないのです。

(2022年2月記 K. Yamamoto)

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