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参考症例集・かっぱハゲへの植毛術『つむじ部の円形脱毛に対してFUEを行った症例の解説』

Lesson 2. 『かっぱハゲ』への植毛術

40歳前半、男性。典型的な”かっぱハゲ”。
FUE:1100グラフト。
かっぱハゲの状態で毛髪がうぶ毛に退化してしまうと薬剤治療では解決できません!。

つむじ中心と生え際の術前・術後写真

【術前】
HN分類(➡ 男性のAGAのHN分類表をご参考ください。):3v。
つむじ部の植毛術をご希望で当院へご来院されました。
他院でも植毛術について相談したようですが断られたこともあり、薬剤治療を勧められて継続しています。

しかし、このような"かっぱハゲ”の状態で、うぶ毛まで退化してしてしまうと、薬剤を使用してもいつまでもつむじ部は円形のお皿のように凹んだ状態のままで十分な効果が得られません。
したがって、植毛術を行って太い頭髪を加えることで立体感を実現するしかないのです。
この点に関しては、別の機会で説明いたします。

術前写真の分け目の状態を見ていただくとわかりますが、薄い円形の脱毛部分は区別できますが、薬剤を使用しているためもあり、頭髪がまったくない状態ではないのがわかります。
つまり、結構、頭髪があるのに、はっきりと”かっぱハゲ”に見えてしまっているのです。
やっかいですね! 
つむじ部は渦巻状に周囲に頭髪が流れているので、360度分け目の状態だから目立ちやすいのです。
しかし、この状態であれば、薬剤効果もあって比較的多くの既存毛が残存しているので、1回の植毛術で目立たない状態にもっていくことも可能になることが多いのです(無毛では1回ではダメですが)。

薬剤の使用:薬剤を使用しています。
遺伝的素因:父親は3型ですが、他は不明です。
ドナーの状態:ドナーの密度は平均的です。
術式の選択:年齢的にはFUEはやや不適ですが、ドナー密度も悪くはないので、FUEでも問題が少ないと予測できます。

【手術評価】
移植面積は36㎠、移植密度30グラフト/㎠で移植術を行っています。
FUEの評価:FUEで最も評価すべき検査は毛包切断率です。この例では、毛包切断率(➡ Step3『Proの植毛術』をご参考ください。)は5.5%でした。
また、グラフト損失率は3.0%であり、年齢が比較的高い割に良い結果でした。
通常、40歳以上では、採取する毛根の癒着が強くなるため、FUEをオススメしないのですが、今回の評価から、再度、植毛術を検討する場合でもFUEを行うことも可能という結果でした。

術前拡大写真

【手術結果 - 術後6か月目と術後1年目】
術後6か月目でほぼ結果が出ています。
術後1年目では頭髪が伸びることによって、さらにつむじ部のボリュームがアップしています。
もう”かっぱハゲ”ではないのがわかります。
分け目の写真を見ると、現時点では頭頂部の分け目より密度が高くなっているのがわかります。
既存毛が退化しないために、薬剤治療の継続は必要ですが、もう”かっぱハゲ”とはおさらばです。

【ドナー部 - 術後1年目】
術後1年目のドナー部の写真では、小さい点状のキズがありますが、1回くらいのFUEではほぼ認識できないレベルです。

(2023年3月 K. Yamamoto記)

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