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参考症例集・つむじ中心への植毛術『つむじ部の薄毛に対して植毛術を行った症例の解説』

Lesson 1. つむじ中心とM字部の『薄毛が気になる』
AGAではないけれども、植毛術はできるのかな?
初回手術:FUE 500グラフト(つむじ中心)
2回目手術:FUE 500グラフト(M字部)

20歳代、男性。生来の毛量と毛密度ですが、薄毛が気になってつむじ部とM字部に植毛術を行った症例。
FUE 2回、各々500グラフト。
男性型脱毛症(MAGA)がないため、薬剤治療を併用しない症例。

つむじ中心と生え際の術前・術後写真

【術前】
HN分類(➡ 男性のAGAのHN分類表をご参考ください。):1型(AGAはない)。10歳の頃から薄毛が気になっていた症例です。生来から毛穴の密度が少ない方ですので、このような症例は意外と多いのです。
特に360度が分け目となるつむじ中心部は毛量や密度が顕著に判断できてしまいます。また、AGAがなかったとしても、年齢と共にさらに毛量が低下していくと薄毛もさらにわかりやすくなってしまいます。
困ったことに、このような症例では、薬剤を用いたとしても新たに太い毛髪が再生されるわけではないので、効果も弱く、積極的な薬物治療はそもそも行う必要がありません(ただし、老化予防という観点からの使用は考慮が必要です)。

つむじ中心部の拡大写真を見てみましょう。つむじ中心部の頭髪は、太さは均一で正常です。したがって、AGAの脱毛ではありません。毛穴の数と毛髪数が少ないため、つむじ部の薄毛が気になっているのです。
毛穴の密度は60個/ ㎠以下ですので、毛穴の間隔がかなり広いことがわかります。薄く見えるのも当たり前かもしれません。
確かに、つむじ中心部では、80個/ ㎠くらいの密度はほしいものです。

上述したように薬剤では、太い毛髪自体を新たに増やすことはできませんので、改善の方法は植毛術しかありません。
ただし、男性に対する正常部位への植毛術はAGAによる脱毛の進行を完全に否定できるものではないので、通常、手術適応にはならないのです。
つまり、いくつかの問題点があります。

  • 特に若年男性の場合は、AGAによる脱毛の進行が今後明確になるかどうかの判断ができませんので、正常な部位への移植術は通常適応ではない
  • 毛量が50%を超えていた場合は、それ以上毛量が増えたとしても、増毛効果がわかりにくいため、高い満足度が得られるとは限らない(➡ Step2:薄毛治療・Lesson2. 薄毛治療のタイミング~毛量から見た治療法~をご参考ください)
  • 正常な太さの毛髪の間に移植する場合は、1回の手術で可能な移植密度が制限される。さらに、つむじ部中心では毛角度が整列していないため、密度は上げにくい。
  • 正常部位への移植は、根の深い太い毛髪の間に移植するための切れ目を入れるため、これらの毛髪のダメージに細心の注意が必要なことです。AGAに影響を受けた頭髪のように、早期にうぶ毛化するものではないため、損傷は許されないためです。

薬剤の使用:脱毛薬の使用はありません。
遺伝的素因:血縁者の男性にAGAの方はいません。
ドナーの状態:ドナーの密度は低い方です。
術式の選択:AGAの素因はない可能性が高く、頻回に植毛術を行うケースではありません。
したがって、初回手術では、FUTではなく、FUEが適応となります。

【1回目の手術と結果 - つむじ中心部】
術前写真を見るとわかるように、M字部はM字脱毛でもなく、全く正常な状態ですので植毛術を行う適応はありません。
したがって、患者さん本人も初回手術ではつむじ中心部のみを行うことに納得されました。
なので、今回は見た目にも薄いつむじ中心のみを行うこととなりました。
移植部の面積は、20㎠であり、平均移植密度20~25グラフト/㎠で移植しています。

ここで、術後2年半後のつむじ中心の拡大像を見てください。
新たに作った毛穴は赤丸で囲っていますが、3本毛のグラフトを集中的に移植したことがわかると思います。
これは、つむじ中心を含めて分け目の部分に移植する場合、移植密度が上げられない分、強力なグラフト(3本毛グラフト)を移植しておかないと効果が実感できないためなのです。
不用意に1本毛のグラフトを移植してしまうと、増毛効果が実感できないばかりか、万が一、さらに密度を上げたいと2回目の密度アップの植毛術をご希望された場合、1本毛の毛穴の部分が邪魔になって移植部位を新たに作成する時に困ることになります。
幸い1回の手術で患者さんの許容範囲を満たせたようです。
1回目のFUEの評価:FUEで最も評価すべき検査は毛包切断率です。この例では、毛包切断率(➡ Step3『Proの植毛術』をご参考ください。)は2.8%でした。
また、グラフト損失率は0.6%であり、現時点ではFUEに非常に適した症例であったことがわかります。
次回、植毛術を検討する場合でもFUEを行うのに全く問題ないことがわかります。

術前拡大写真

【2回目の手術 - M字部】
2年半が経過しましたが、「やっぱりM字部の植毛術がしたい」とのことで、2回目の植毛術を行うことになりました。
ただし、注意点があります。
特にお若い方に多いのですが、「生え際をまっすぐにしたい」とご希望される場合、この症例のように丸い生え際ラインのことを想像している場合が多いことです。
このような生え際ラインは幼少時や思春期の生え際ラインなので、特に男性でAGA脱毛が進行した場合に修正術の必要が生じる可能性が高いのでおすすめできないラインとなります。勿論、AGAの脱毛進行が全くなければ、全く問題がないのですが…。
なお、図の右は前回1回目のFUEを行った2年半後の後頭部(採取部)ですが、スキンヘッドにしないかぎり、1回くらいの手術ではキズ跡が目立つことはありません。

(2022年5月 K. Yamamoto記)

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