• お電話のご予約はこちら

    0120-487-425

FUEのドナー部:多数の点状のキズは大丈夫でしょうか?『FUEであってもキズはあります!』

Lesson25. FUEで植毛術を行った後に、後頭部は剃毛できるのかという問題

20歳代、男性。生え際を適正位置で移植。
FUEでもドナー部に小さい点状のキズがあるので、刈り上げには注意する必要があります。
FUE、1000グラフト(最終グラフト数:1020グラフト)。

術前・術後写真

【術前】
4年程前から生え際の薄毛が気になりだし、フィナステリドとミノキシジルを服用し始めたが、生え際の状態が元に戻らないので、植毛術目的で当院にご来院されました。
術前写真を見るとわかりますが、典型的な生え際が後退する早期のAGA脱毛症です。

HN分類(➡ 男性のAGAのHN分類表をご参考ください。):
典型的なAGA3型です。

術前カウンセリングにて、適正な位置での生え際修正を行うことになりましたが、20歳代の若年者なので、当面は現在服用している脱毛治療薬の使用継続が必須という同意の下で、FUEで施術を行うことになりました。

薬剤の使用:フィナステリドとミノキシジルを内服しています。
遺伝的素因:父がスキンヘッドをしているので、AGA脱毛症の疑いがあります。他の遺伝歴は不明です。
ドナーの状態:ドナーの密度はほぼ平均的でした。
術式の選択:20代という若い年齢であることから、FUT/FUSSよりもFUEの選択が優先されます。

【手術評価】
移植デザイン:20才代という年齢を考慮した標準的な生え際ラインで設定しています。
FUEの評価
FUEで最も評価すべき検査は、毛包切断率です。この例では、毛包切断率(➡ Step3『Proの植毛術』をご参考ください。)は4%でした。また、グラフト損失率は0%でした。FUEを行っても毛包損失は少なかったので、今後植毛術を行う機会があるとしても、40才くらいまでであれば、FUEを安心して選択できます。

FUEで後頭部を剃毛した場合

【手術結果 - 術後6ケ月目・1年目】
移植部:脱毛予防薬を継続使用しているので、術後6ヶ月目でほぼ完成しています。
術後1年目では、ヘアスタイルがすっかり変わってしまっています。

【FUEのドナー部の経過】
まず、図の上段の左の写真を見てください。
術前の状態ですが、これくらい後頭部の頭髪を伸ばしていれば、1000グラフトの採取では剃毛部をすべて覆い隠すことができます。
上段の真ん中の写真は、術後6日目の採取部を示しています。
FUEでくり抜いた小さい穴もすべて閉じて治癒してしまっているのがわかります。そして、採取していない上部の部分の下にある採取領域は毛髪をくり抜いただけ薄くなっているのがわかると思います。
剃毛部の上部にある頭髪でキズが治癒するまで十分隠せているのが上段の右の写真でわかります。
下段は3ヶ月目以降のドナー経過です。
3ヶ月目では後頭部の頭髪を伸ばしているので、多数の点状のキズは判別できない状態です。
しかし、1年目のドナー部を見ると、後頭部を高い位置まで刈り上げてしまっています。グラフト採取部の下方は1mm程度の頭髪で点状のキズを隠そうとしていますが、さすがに隠せない状態です。
このような場合、毛のない小さい点状のスポットが見えてしまっているということです。写真の青➡️の部分をよく見ると採取部がやや透けているのに気づくでしょう。しかし、このような状態でも1回くらいのFUEのドナー採取では他人は気づかないようです。
このように、本来、FUEであってもドナー採取部には小さい点状のキズがたくさんできてしまい、頭髪が生えないスポットとしての無毛部が無数にできてしまいます。したがって、"FUEで手術したら、ドナー部に全くキズがない"ということではありません
この点はお間違えのないようにお願いします。
なお、点状のキズを誤魔化す方法として、Scalp micropigmentation(SMP)という手法がありますが、短くヘアカットする場合は、このような方法を含めて、色んなことを考えておかなければなりません。

(2025年1月 K. Yamamoto記)

お電話
WEB予約
LINE予約