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M字部の透けとはどういうことか?『生え際の毛量が減ることによる見かけの変化について』

Lesson24. AGA 3型に対する植毛術

20歳代後半、男性。M字部を適正位置で移植。
FUE、1000グラフト(最終グラフト数:1004グラフト)。

術前・術後写真

【術前】
生え際の後退が気になり、特にM字部の薄毛で植毛術の希望でご来院されました。
若い方のAGA脱毛の進行で、典型的な症例です。
”薬は飲みたくない”というお考えはあるようで、初診時は脱毛治療薬は使用していませんでした。

HN分類(➡ 男性のAGAのHN分類表をご参考ください。):
典型的なAGA3型です。

まず、術前の状態を見てみましょう。
術前の状態で、M字部の脱毛範囲に左右差が見られます。
この部分はすでにうぶ毛に退化している頭髪が多いため、薬では最良の効果とはなりません。
したがって、長く伸びる太い頭髪を再現するためには植毛術が最も有効となります。

薬剤の使用:AGA脱毛進行予防薬を使用していません。
遺伝的素因:父方はAGA 6型の高度脱毛型であり、髪質もご自身とよく似ているということですので、脱毛治療薬を使用しない場合は、M字部に移植したとしても、移植毛が島状に取り残されて脱毛がさらに後方に進行していくことになります。
ドナーの状態:ドナーの密度は平均以下です。
術式の選択:ドナーの密度は低いですが、20代という若い年齢であることから、FUT/FUSSよりもFUEの選択が優先されます。
ただし、FUEを選択する場合、若年者では将来の植毛術の繰り返しを回避するために、脱毛治療薬の使用が必須となります。

【手術評価】
移植デザイン:今回の症例では、20才代という年齢を考慮した標準的な生え際ラインで設定しています。
FUEの評価
FUEで最も評価すべき検査は、毛包切断率です。この例では、毛包切断率(➡ Step3『Proの植毛術』をご参考ください。)は10%でした。また、グラフト損失率は3%でした。毛包切断率は年齢的に少し高いですが、ドナー密度が低いことを考慮すれば標準的な結果でした。

【手術結果 - 術後6ケ月目】
移植部:この症例では、AGA脱毛が年齢ととも(父親のように)進行していくことをご理解いただけたので、術後から脱毛治療薬を始めたそうです。脱毛治療薬を開始することによって、AGAの脱毛進行はほとんど停止した状態になるため、これからどんどんとハゲが進行するという不安や恐怖は解消されていくこととなります。
さて。術後6ヶ月目の状態を写真で見てみてわかるように、移植部の効果はほぼ完成しており、M字脱毛は消失しています。

【手術結果 - 術後1年目】
移植部:生え際のラインは6ヶ月目で完成されているので、生え際の状態の1年目は6ヶ月目とは大きく変わっていません。

M字部の透けについて:ここで、タイトルにある”M字部の透け”について考えてみましょう。
”M字部の下の額のところが昔より透けて気になって、生え際のラインのM字部の所を丸く移植したい”と言って、ご来院されるお若い方が多く見られます。しかし、生え際のM字を女性や児童のように丸くデザインして移植することは、男性にとっては明らかに不自然なラインとなります。したがって、全く推奨できないデザインなのです
そこで、今回の症例を見ていただくとわかりやすいのですが、まず6ヶ月目の左端のクリップで止めていない正面写真を見てみてください。M字ラインは髪を伸ばしたところで、まだ移植毛が長く伸びていないので、術前写真と比較してそれほど変わりません。
しかし、1年目の正面写真を見ると、M字部に移植することによって、M字部自体が修正されると同時に、移植毛がさらに伸びることによって、M字部直下の額も伸びた移植毛で透けがほぼ無くなっているのがわかると思います。
このように、術前カウンセリング時にM字部の下が透けるという理由で丸く移植したいと希望されていた患者さんでも、実際には丸いラインの不適切ラインではなく適正ラインで移植したとしても、移植完成後に再度M字を丸く移植したいと希望される患者さんはほとんど存在しないのです。

(2024年12月 K. Yamamoto記)

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