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参考症例集・FUEで行う場合、ドナー低密度は大問題!『FUEではドナーの密度が低い場合、本来FUEに適していません』

Lesson 6. 額が広いAGA症例に対する生え際への植毛術

30歳代、男性。FUEを行うにあたってドナー密度は重要です。
FUE、1500グラフト。

術前術後写真

【術前】
HN分類(➡ 男性のAGAのHN分類表をご参考ください。):3型ですが、生来から額が広いため、かなり生え際が高い位置にあります。
したがって、植毛術を行う場合、比較的高い生え際であっても大量のグラフトが必要であると予想できます。

ただし、今回は、移植すること自体について問題はないのですが、その移植グラフトを採取する側であるドナー部に大きな問題がある症例なのです。

平素から私が感じていることですが、私と患者さんの考えには常にズレがあります。

どういうことかというと、当たり前のことですが、患者さんは脱毛部の状態だけが気になっているのです。とにかく脱毛部を元の状態に戻したい、あるいは、無い所に毛を生やしたいのです。
これは当たり前のことですね!

しかし、植毛術を行っている私の立場からすると、技術的に問題がなければ移植結果に関しては最初から想定した結果となるので、それほど気にしないことが多いのです。
というのは、どちらかというと、移植部よりもドナー部の方が重要であると考えているからなのです。

理由は、
◆ ドナー部のキズが目立たなければ、手術を行ったことすら他人には気づかれない!
◆ 技術的に最も難しいのは、ドナー部の損失を0とすることです。
◆ ドナー部の密度が高ければ、良いグラフトを使用できるばかりでなく、将来的にもたくさんのグラフトを採取することができます。
などありますが、特に最後に記載した部分は、頭に入れておいてください。

遺伝的素因と年齢:母方は3~5型、父方は2型まで進行しています。
ドナーの状態:後頭部のドナーの密度が低い症例です。毛穴自体の密度も低く、かつ、3本毛が少なく1本毛が多い症例です(図を参考)。
術式の選択
HN分類ではAGA3型ですが、額が広い症例です。ドナー密度は低いですが、比較的年齢が若いので、1回くらいのFUEはチャレンジしてもよいでしょう。
ただし、AGA脱毛の兆候が見られた場合は、遅れることなく脱毛進行予防薬を継続する必要があります。

【手術評価】
平均移植密度35グラフト/㎠で移植しています。
FUEの評価
FUEで最も評価すべき検査は、毛包切断率です。この例では、毛包切断率(➡ Step3『Proの植毛術』をご参考ください。)は8%でした。また、グラフト損失率は10%でした。この数値は、通常であれば、次回もFUEを選択してもよい数値です。
しかし、今回はドナー密度がもともとから低すぎるため、次回に植毛術を検討する場合、FUEは推奨できないと結論づけられるのです。
なぜなら、グラフトの損失を最小限にしなければならないからなのです。
【手術結果 - 術後1年目】
術後評価は術後1年目で判断します。想定通りの結果となっています。

術後ドナー部

【ドナー部 - 術後1年目】
写真は、ドナー部の術前と術翌日の拡大像を示しています。
術前の拡大写真を見ると、毛穴から3本毛が出ている部分はなく、1本毛が多いのわかります。
術翌日の拡大写真では、FUEでくり抜かれた赤い部分がありますが、2本毛以上の毛穴が抜かれたため、残っているのは1本毛の毛穴ばかリになってしまっています。
術後1年目のドナー部の写真では、小さい点状のキズは目立ちませんが、1回のFUEにもかかわらず、かなり薄くなっているのがわかります。

FUEでは、FUTと比較して移植毛の切断やグラフト損失が多いのが普通です。
また、小さい点状のキズの範囲が広範囲に残ります。つまり、”荒らされたドナー部”が広範囲に及びます。もし、次に手術を行う場合、採取する良い場所がますます少なくなってしまうのです。
したがって、AGA脱毛が進行して植毛術を検討する場合、通常より早く”もう植毛術はできません!"と言われてしまうかもしれません。

(2022年12月 K. Yamamoto記)

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