Lesson 10. 額が横長で広い場合、顔形のバランスを整えるために側頭部への美容的植毛術を併用します!
30歳代、額が横長に広い場合、生え際が下がると顔形のバランスが崩れる場合あります。
このような場合、適正ラインまで額の横幅を狭めることも考慮する必要があります!
FUE: 1600グラフト。
【術前】
HN分類(➡ 男性のAGAのHN分類表をご参考ください。):3a型。
生え際の植毛術をご検討されて当院にご来院されました。
AGA3a型で、額は高い位置にありますので、植毛術の適応です。
しかし、正面から見るとかなり額の横幅が広く感じるのです。実際に額の横幅は広いのですが、個人的な骨の形もプラスして額の横幅がより広がって見えてしまっています。
これは側頭部の出っ張りが正面から見て見えにくいためです。
このような場合、植毛術を行って生え際全体だけを適正な位置に下げた場合、さらに額の横幅が広く感じてしまってアンバランスになる可能性があります。
決して、AGA脱毛の進行のために側頭部が後方へ後退した状態ではないので、ご本人にとって正常と言えば正常でしょうが、美容的にはやや問題がありそうです。
通常、側頭部への移植術は適正なラインのギリギリのところまで内側へ移植することになります。今回は、左右とも約1cm内側に移植するデザインとなりました。
遺伝的素因と年齢:父方が3~4型で、母方は正常な祖父以外は不明です。
ドナーの状態:後頭部のドナーの密度は若干低めです。
術式の選択:ドナー密度はやや低く、頭髪は微妙にくせ毛であるものの、重度AGAの遺伝歴もなく、脱毛予防薬も使用していることから、FUEの選択で問題ありません。結果的にFUEを選択されています。
【手術評価】
移植面積は生え際と側頭部の合計で45㎠、移植密度30(側頭部)~40(生え際)グラフト/㎠で移植術を行っています。
FUEの評価:
FUEでまず重要な検査は、毛包切断率です。この例では、毛包切断率(➡ Step3『Proの植毛術』をご参考ください。)は9%でした。
また、損失されたグラフトを含めた毛包切断率自体が11%と推定されました。結果的には、ご年齢的に許容範囲内という結果でした。
【手術結果 - 術後6ヶ月目と1年目】
術後6ヶ月目の時点で、ほぼ結果がでています。
1年目では、移植毛もなじんできてきます。
写真を見るとわかるように、横幅が広かった額もほぼ正常な感じの額となり、顔形も典型的な形に修正されています。
【ドナーのキズ - 術後1年目】
今回の植毛術においても、1回のFUEでは、無数の点状のキズは判別できない状態で治癒しています。
(2023年4月 K. Yamamoto記)