TYHロゴ
CASE_linkCASE

FUEはBlack Market (営利目的だけの植毛術)の温床?『FUEは手術方法が容易なため、Black Marketとして利用されやすい!』

Lesson 10. 世界的に流行しているFUEは、Black Marketとして利用されやすいので注意が必要です!

L

FUEは医師側から見て、手術方法が非常に簡便なため、未熟な医師でもFUEを導入するのは容易です。
それに対して、FUTはどれだけ簡便なFUTの手法を用いるにしても、技術的な面で医師とスタッフ双方の熟練が要求されます。そのため、手技的にBlack Market化は困難となります。FUTの結果が良いクリニックがBlack Market Clinicとはなり得ないと考えられます。
Black Market Clinicは、必ずFUE専門クリニックなので、実際の施術医師の経歴や技量を必ず確認する必要があります。

本来のBlack Marketとは、日本国外において資格を持たない者が主に植毛術を行うことなので、日本では真のBlack Marketは存在しないと考えられます。
しかし、FUE自体は、専用機器を使用(性能はピンキリですが)することによる容易な技術であるがため、FUEの新規参入は比較的容易です。
なので、植毛術に対する十分は理解や経験がなく、FUEの重大な欠点を無視した治療を行う営利目的を主に行うBlack Market様のクリニックは存在すると思われます。したがって、自身がFUEにあまり適さない性質であるなら、最終的に良い結果をもたらさない場合が多いことを知らなければなりません。

Black Marketに関しては、種々サイトなどを検索すると、FUEでの問題点も何となく見えてくると思います。
これらのサイトを見ると、移植部だけの問題ではなく、ドナー部にも注意を払わなければならないことがよくわかると思います。
特に、ISHRS(国際毛髪外科学会)のISHRS:Beware Illegal Hair Transplant(違法植毛の注意喚起)のサイトを見ていただくと、わかりやすいかと思います。
その他にも、以下のサイトなどのように、Black Marketに関するサイトは簡単に検索できます。
Black Market Hair Transplant Clinics - Med Tourism Dark Side
Black market for hair transplantation - ISHRS open letter

以上のサイトを見てわかるように、植毛術においては、移植部とドナー部の両方の結果がどうなるかを事前に想像しておくことが大切です。
原則として、人間は老化していくものであり、頭髪にも当然当てはまります。20歳代の時の多かった毛量も、AGAがあってもなくても、年を重ねるにつれて減っていくものです(人類に共通する事象)。

したがって、特に若い年齢の男性の方が将来像を考慮にいれず、安易な気持ちで、生え際を下げたり、学生時代のような丸い額の生え際を作成してしまうのは基本的に厳禁なわけです。

では、FUEの植毛術での根本的な問題とはどういったことでしょうか?

これは、薄毛に悩む多くの方が、薄毛の部分のみを気にしすぎて、大切なドナー部(特に後頭部の頭髪)のことを全く考えていないことに大きな要因であります。
そして、その方々の弱みに付け込んでいる医療者側に最大の問題があります。あたかも、ドナー部の毛髪はたくさんあって、グラフトを取れば取るほど移植結果は良いというように誘導するのです。
勿論、移植結果はたくさん移植し、さらに高密度移植(注:1回の手術での極度な高密度の場合、合併症発生率が著増)すればするほど結果が良いのは当たり前です。しかし、移植毛の損失のことを全く考慮に入れずに、たくさんグラフトを採取して、良いグラフトだけを選択して、結果を誤魔化すような行為にもなりかねません(参考:【実践編】FUEで30%の損失があったら?)。
一方、後頭部のドナー部に目を向けると、移植毛を取れば取るほど、採取されるドナー部はますますボロボロになっていくのです。そして、取りすぎてしまうと、薄毛が進行してしまった時にいざ植毛術を行おうとしても将来的に採取できる毛髪がなくなっています。
それに加えて、ドナー部の毛髪の加齢変化も広範囲のキズのためにさらに加速し、通常より強い頭皮血流の低下によってさらに薄い後頭部になってしまいます(参考:FUEの欠点:ドナー部の血流について)。
他の項目でも再三説明していますが、グラフト採取が悪く、移植毛の損失や切断が多い、FUEの非適応者に該当する患者さんにとっては、特にハイリスクとなります(参考:Part I: FUEにおける『グラフト損失』の問題)。

なお、日本国内においては、医療従事者でない者が植毛術を実際に行うことはないと考えられますが、FUEの初期導入が容易なことだけの理由で、FUE非適応者に対して十分な術中評価をせずに、将来的なドナー管理計画を行わず、生え際のみに大量移植するクリニックは存在するように見受けられます。
移植するための頭髪は有限であるにもかかわらず、『取り放題・植え放題』という文言が未だに検索サイトでヒットします(取り放題したら、ドナー部は早期にボロボロになるのに⋯😞)。このような言葉尻の良さだけでお得だと思わせてしまう文言は、医療者としてどうなのか?と疑問を抱かざるを得ません。

植毛術を行う上で最も大切なことは、
ドナー部の移植毛を100%使用し、100%の生存が獲得できるように努める
ことです。私は植毛術を始めた昔から銘記していた最も大切なことです。大事な頭髪を如何に最大限活用して温存するか、そして毛髪を1本でも無駄にしないことを最重要事項としていたのです。
毛髪の無駄さえなければ、重度に脱毛が進行したとしても、“まだ治療できる”という可能性が残るからです。
あたかも、がん治療において、“まだ効果的な薬が残っていますよ!”という状況に似ています。薄毛が進行した時に、“もう植毛術はできません!”とは私的にはなかなか言いたくないのです。

以上、述べてきたように、ドナー部を大切に扱うことが医療者にとって最も大切であり、さらに大量に移植毛を採取してもドナー部のキズが目立たないように計画していくことが重要なのです。
そして、FUEのみだけでなく、FUTに熟練しなければならない理由としては、FUTに熟練すれば、移植毛の損失がほぼなく、ドナー部のダメージも最小限に抑えることができるからなのです。

私は自身の患者さんに、“私的には、移植部はドナー部より重要ではありません。ドナー部の方が大切です。”と、よく話しています(患者さんの反応は勿論薄いですが⋯)。

つまり、移植部となる薄毛部や無毛部への移植は、正常頭皮であれば、どんどん移植さえできれば毛量をどんどん増やすことができるだけのことです。
自然さに関してもある程度の密度があれば達成できるわけで、生え際のデザインさえ間違わなければ不自然になることはありません。
植毛術を何回か行っていけば良いだけのことで、実施するごとに毛量は増えていくので、1回だけの大量移植にこだわる必要もないわけです。そもそも、さらなる密度アップや微妙なデザインの変更は1回だけの植毛術では不可能なわけですから。

ところが、ドナー部から採取する毛髪が無くなってきたり、ドナー部のキズが目立ってくると、追加移植ができなくなったり、キズが他人にバレないように対処しなければならない状況に追い込まれてしまいます。
結局、自然さで困るのはドナー部ということになります。
となると、如何に無駄な採取をしてはいけないかが分かると思います。大量採取すればするほど、ドナー部が醜くなる確率は上がっていきます。結局、困るのはドナー部なのです。

(2026年8月 K. Yamamoto)