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FUTの利点:SDAからの確実な採取『ドナー採取では、SDA(ドナー部の安全域)から移植毛を獲得することが重要です!』

Lesson 11. FUEではCherry pickingの利点があるが、FUTではSDAから一気に採取できる利点があります!

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ドナー採取においては、SDA(Safe Donor Area : ドナー部の安全域)から採取することが重要です。
SDAにある頭髪は、AGAのあるなしにかかわらず、生涯最も太い頭髪として維持され、生涯なかなかうぶ毛化しない毛髪なので、一般に永久になくならない毛髪と言われます。したがって、SDAの頭髪を移植するほど長持ちする毛髪を移植したことになります。
特に大量移植の場合では、FUTはSDAから一塊としてドナー採取を行うことができるため、FUEよりも確実に生涯有効な頭髪を獲得できます。

FUE vs. FUT SDA

以前、Cherry pickingできることがFUEの利点(Lesson 8 参照)であると、説明しました。
今回はFUTにおけるドナー採取の利点を説明したいと思います。

将来的に長持ちする移植毛を利用するには、ドナー採取において、SDA(Safe Donor Area:ドナー部の安全域)から移植毛を採取することが重要です。

ところで、SDA、SDAと言っていますが、SDAとは何なのでしょうか?
SDAとは日本語に訳すと、“ドナー部の安全域”という意味になり、AGA脱毛者でも男性ホルモンの影響を受けずに最後まで太い頭髪が残る場所のことです。
つまり、AGA脱毛が6型や7型の重度に進行したとしても、SDAの部分の頭髪は男性ホルモンによる影響を受けずに年齢なりに太い頭髪が必ず残ってくれます。
したがって、若いうちに植毛術を行うとしても、SDAの場所にあった毛髪を移植毛として使用していれば、年老いても、最後まで移植毛が無くなることはなく、太い毛髪のまま維持されることになります。

では、まず、重度AGAの6型の症例で考察していきましょう。
図を見るように、重度AGAの素因を持つ6型の方の場合、50~60歳代になると、頭頂部のみならず後頭部の薄毛も目立ってきます(図のA)。
つまり、重度にAGAが進行してくると、SDAの場所がはっきりと目で見てわかるようになってきます。この写真のような例では、後頭部の上部がV字型で薄くなってきており、将来この場所の薄毛が無毛部に変わっていき、最後にはV字型の太い頭髪が残ると簡単に認識できるようになります(図のB)。
そして、後頭部の下部であるうなじの辺りの毛髪も少し細い毛髪に変化してきているのが見てわかり、今度さらに細毛化していくと予測できます。

では、日本人において、比較的大量移植である2000グラフトを移植する場合を例として、FUEとFUTでのドナー部の採取状況を比較してみましょう。

  • FUE 2000グラフトの場合(図のC)
    2000グラフトをFUEで採取する場合、ドナー密度の低い日本人では、後頭部全体からグラフト採取を行うことになります。
    そうすると、大抵の場合、若い時にはまだ太い毛髪であった後頭部上部のV字より上の三角形の部分からも採取することになります。
    写真を見ておわかりのように、この三角形の部分は時が経てば細い毛となり、目に見えないうぶ毛に退化してしまいます。たとえきちんと生存していたとしても、60代になるとほぼ無くなったのと同じくらいの色素のない小さいうぶ毛まで退化してしまいます。
    移植直後には、実際にきちんと生えていたとしても、移植部位のSDA外から採取された毛髪は、加齢とともにうぶ毛化して目に見えない毛髪に退化し、結果として、移植したにもかかわらず、薄くなる速度が早いと実感する人も出てくるでしょう。

    では、脱毛が進行してしまって、再手術する場合を考えて見ましょう。
    再手術が必要となった場合、初回手術で採取されたSDAを含んだ広範囲の後頭部領域がすでに損傷されています。広範囲の瘢痕化した頭皮(Lesson 9 参照)になっているわけです。そして年齢の進行に伴ってさらに後頭部は通常より硬くなってしまっています。
    いざ、2回目のFUEを行うとしても、このような場所から良質なグラフトを採取できる確率はさらに減ってしまいます。そして、さらなるキズの増加に伴って採取部はさらにスカスカ度合い増強することになります(“Overharvesting”[FUEで点状のキズが増えすぎて、ドナー部がスカスカに見える状態]といいます)。
  • FUT 2000グラフトの場合(図のD)
    では、FUTの場合はどうでしょうか?FUTは帯状に塊(かたまり)で採取します。写真のように、すべてSDA内の頭皮を採取するわけです。
    したがって、たとえAGA脱毛が進行したとしても、移植された移植毛のすべてが最後まで太い毛髪のまま残ることになります。
    2000グラフトを採取したとしても、FUTで用いた移植毛の方がFUEよりも長持ちする場合が多いと考えられるわけです。

    そして、2回目の植毛術を行う場合においても、正常な頭皮のSDA内から再度効率よくグラフトを採取できます。
    このような理由で、移植グラフト数が増加すればするほど、FUTがFUEよりも圧倒的に優位になってくるわけです。
    ただし、1回で終わるような植毛術に関しては、FUEで行っても問題になることはないということがおわかりになるでしょう。

以上のように、FUEは、Cherry Pickingが可能なために移植グラフト数が少ない場合、FUTより効率的に優れる場合が多いのですが、大量移植を行う場合は、FUTよりも圧倒的に不利になってくるのです。

したがって、特にドナー密度が低い日本人では、大量移植が必要となるような脱毛者やその可能性のある人ほど、FUEの選択には慎重になるべきなのです。

なお、余談ですが、将来効果的な頭髪を採取しようとして、SDAだけからFUEでグラフトをたくさん採取してみたらどうなるでしょうか?
ご想像通り、SDAの部分だけがスカスカの四角形状の頭皮がむき出しになって、『Window Effect』と呼ばれる窓枠のような後頭部が出来上がることになります。

(2026年8月 K. Yamamoto)